相続税の計算方法をわかりやすく解説|土地の評価額・シミュレーション・節税対策まで

公開日:2019/09/27 更新日:2026/07/10
相続税の計算方法をわかりやすく解説|土地の評価額・シミュレーション・節税対策まで

「相続税がいくらかかるのか分からない」「土地や不動産の評価額はどう決まるのか不安」と感じている方も多いのではないでしょうか。
相続税は、遺産総額や法定相続人の人数、不動産の評価方法などによって大きく変わるため、事前に計算方法を理解しておくことが大切です。

この記事では、相続税の基本的な計算方法や土地の評価額の考え方、シミュレーション例、知っておきたい節税対策まで分かりやすく解説します。

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監修者
金子賢司CFP®認定者

営業中の交通事故をきっかけに会社の福利厚生や年金制度に関心を持ち、FPの勉強を開始。その後独立系FPとして起業し、現在は企業主催の確定拠出年金・資産運用セミナー、新聞社や大手金融機関オウンドメディアの執筆、個人相談などを中心に活動。

相続税とは?

相続税とは?

相続税とは、亡くなった人から相続や遺贈(遺言による財産の取得)によって受け取った財産に対してかかる税金です。
参考:国税庁「No.4105 相続税がかかる財産

相続税を計算する際は、現金や不動産などの財産額から、非課税財産や借入金などの債務、葬式費用などを差し引いて課税価格を算出します。

ただし、相続税には「基礎控除」が設けられており、課税価格が基礎控除額以下であれば、原則として相続税はかかりません。
課税価格が基礎控除額を超える場合のみ、超えた部分に対して相続税が課税されます。

■基礎控除額
(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)

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相続税がかかる財産

相続税がかかる財産
財産の種類 備考
現預金 預貯金、名義預金など
不動産 土地(駐車場として活用している土地を含む)、建物
有価証券 株式、投資信託、自社株など
動産 貴金属、骨董品、自動車など
死亡保険金 非課税枠あり
(500万円×法定相続人の数)
死亡退職金 非課税枠あり
(500万円×法定相続人の数)
相続開始前一定期間内の贈与財産 年110万円以下の贈与であっても加算対象に含まれる
相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産 相続時に相続財産へ加算される(令和6年1月1日以後の贈与は年110万円の基礎控除超過分が加算対象)

参考:国税庁「No.4105 相続税がかかる財産」、国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択

相続税の対象となる財産には、現金や不動産のほか、株式・投資信託・貴金属・自動車なども含まれます。

また、死亡保険金・死亡退職金には、非課税枠が設けられているのが特徴です。

■非課税枠
500万円 × 法定相続人の数

相続開始前の一定期間内に贈与された財産や、相続時精算課税制度を利用した贈与財産も、相続税の計算に含まれることがあります。

暦年課税による贈与財産の加算対象期間は、被相続人の相続開始日に応じて、以下のように変わります。

被相続人の相続開始日 加算対象期間
~令和8年12月31日 相続開始前3年以内(死亡の日から遡って
3年前の日から死亡の日までの間)
令和9年1月1日~令和12年12月31日 令和6年1月1日から死亡の日までの間
令和13年1月1日~ 相続開始前7年以内(死亡の日から遡って
7年前の日から死亡の日までの間)

出典:国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)

相続税を計算する際は、現時点の財産だけでなく、生前贈与された財産も含めて整理しておくことが大切です。

相続税がかからない財産

相続税がかかる財産

亡くなった人から引き継いだ財産でも、すべてが相続税の課税対象になるわけではありません。
以下のような「祭祀財産」は、日常的な礼拝や供養に使用する財産として扱われるため、相続税の課税対象から除外されています。

 ● お墓
 ● 仏壇・仏具
 ● 神棚
 ● 祭具類 など
参考:国税庁「No.4108 相続税がかからない財産

ただし、骨董品として高い価値があるものや、投資・商品目的で所有しているものについては、課税対象となる場合があるため注意が必要です。

また、相続税を計算する際には、以下の費用を相続財産から差し引くことが認められています。

 ● 債務
 ● 葬式費用
参考:国税庁「No.4126 相続財産から控除できる債務」「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用

借入金や未払金のほか、通夜・告別式にかかった一定の費用などが控除の対象です。

一方で、香典返しの費用や墓地・墓石の購入費用、初七日などの法要費用は、控除の対象には含まれません。

相続税の計算方法

相続税の計算方法

続いては、相続人3人(妻・長男・長女)のケースをもとに、相続税の計算方法を順番に分かりやすく解説します。

相続税の計算方法

①課税遺産総額を計算

まずは、相続財産の総額から、債務や葬式費用、各種控除・特例を差し引き、「課税遺産総額」を計算します。
相続税は、この課税遺産総額をもとに算出されます。

財産内訳 自宅土地   4,000万円 (198㎡)

自宅家屋   1,500万円

預金     6,000万円

死亡保険金  2,000万円

遺産総額   1億3,500万円
非課税財産 なし
債務 ▲400万円
葬式費用 ▲100万円



小規模宅地等の特例適用 自宅土地評価額4,000万円×80%= ▲3,200万円
生命保険非課税枠 500万円 × 3人 = ▲1,500万円
基礎控除 3,000万円 + 600万円×3人 = ▲4,800万円
課税遺産総額 1億3,500万円 - 400万円 - 100万円 - 3,200万円 - 1,500万円 - 4,800万円 = 3,500万円
財産内訳
自宅土地   4,000万円 (198㎡)

自宅家屋   1,500万円

預金     6,000万円

死亡保険金  2,000万円

遺産総額   1億3,500万円
非課税財産
なし
債務
▲400万円
葬式費用
▲100万円
非課税枠
小規模宅地等の特例適用 自宅土地評価額4,000万円×80%= ▲3,200万円
生命保険非課税枠 500万円 × 3人 = ▲1,500万円
基礎控除
3,000万円 + 600万円×3人 = ▲4,800万円
課税遺産総額
1億3,500万円 - 400万円 - 100万円 - 3,200万円 - 1,500万円 - 4,800万円 = 3,500万円

◆事例:相続人3人(妻、長男、長女)のケース

②課税遺産総額を法定相続分で分け、相続税の総額を計算

次に、課税遺産総額を法定相続分に応じて分け、それぞれに相続税率を適用して相続税総額を計算します。
相続税率は、取得金額に対して10%〜55%まで段階的に上がる仕組みです。

法定相続分に応じた取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% -
1,000万円超から3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超から5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超から1億円以下 30% 700万円
1億円超から2億円以下 40% 1,700万円
2億円超から3億円以下 45% 2,700万円
3億円超から6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

相続税の税率 速算表

<相続人の範囲や法定相続分について>

・相続人の範囲
死亡した人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人となります。第1順位「死亡した人の子」、第2順位「死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)」、第3順位「死亡した人の兄弟姉妹」。

・法定相続分
配偶者と子が相続人である場合「配偶者1/2・子(2人以上のときは全員で)1/2」、配偶者と直系尊属が相続人である場合「配偶者2/3・直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3」、配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合「配偶者3/4・兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4」。

今回の事例では、配偶者と子が相続人である場合に当てはまるため、法定相続分は配偶者1/2、子1/2となります。

◆事例:相続人3人(妻、長男、長女)のケース
   3,500万円 × 1 / 2 = 1,750万円 × 15% - 50万円 = 2,125,000円
長男  3,500万円 × 1 / 4 = 875万円 × 10% = 875,000円
長女  3,500万円 × 1 / 4 = 875万円 × 10% = 875,000円
相続税総額 3,875,000円

③実際の相続割合に応じて税額を按分し、納付税額を計算

最後に、計算した相続税総額を、実際に相続した割合に応じて按分し、それぞれの納付税額を算出します。
配偶者には「配偶者の税額軽減」が適用できる場合があり、1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までは相続税がかかりません。

◆事例:相続人3人(妻、長男、長女)のケース
実際の相続割合が妻50%、長男30%、長女20%だった場合
   3,875,000円 × 50% = 1,937,500円 → 0円
長男  3,875,000円 × 30% = 1,162,500円 → 本ケースの相続税 納付金額
長女  3,875,000円 × 20% = 775,000円 → 本ケースの相続税 納付金額

(注意)
上記の記載内容は、令和8年5月31日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性がありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

土地の相続税評価額はどう決まる?

土地の相続税評価額はどう決まる?

相続税を計算する際、不動産の評価額は分かりにくいポイントの一つです。
特に土地は、実際の売買価格ではなく、国税庁が定めるルールに基づいて相続税評価額を計算します。

土地の評価方法には、主に「路線価方式」と「倍率方式」の2種類があり、土地の所在地によって適用される方法が異なります。

路線価方式

路線価方式は、主に市街地で用いられる評価方法です。
国税庁が毎年7月に公表する「路線価」をもとに土地の相続税評価額を計算します。

路線価とは、道路に面する標準的な宅地1㎡あたりの価額のことで、路線価図に千円単位で表示されています。

路線価方式では、以下の流れで評価額を計算します。

1 正面道路の路線価を確認する
2 土地の形状や接している道路に応じて補正する
3 1㎡あたりの価額に土地面積を掛ける

例えば、路線価図に「215D」と記載されている場合、「215」は1㎡あたり215千円の路線価、「D」は借地権割合60%を表しています。

参考:国税庁「No.4604 路線価方式による宅地の評価」「路線価図の説明

倍率方式

倍率方式は、路線価が設定されていない地域で用いられる評価方法です。
土地の固定資産税評価額に、地域ごとに定められた倍率を掛けて相続税評価額を計算します。

例えば、固定資産税評価額が1,000万円、倍率が1.1の場合、相続税評価額は1,100万円です。

倍率は、国税庁が公表している「評価倍率表」で確認できます。

なお、同じ地域でも路線価方式と倍率方式が混在している場合があります。
土地の評価額を確認する際は、路線価図と評価倍率表の両方を確認することが大切です。

参考:国税庁「No.4606 倍率方式による土地の評価

相続税を軽減できる「小規模宅地等の特例」とは

相続税を軽減できる「小規模宅地等の特例」とは

小規模宅地等の特例とは、一定の条件を満たす土地について、相続税評価額を減額できる制度です。
自宅の敷地や事業用地、貸駐車場の土地などが対象になる場合があります。主な事例は以下の通りです。

土地の種類 具体例 減額割合 面積上限
特定居住用宅地等 ご自宅の敷地 80%減額 330㎡
特定事業用宅地等 事業用敷地 80%減額 400㎡
貸付事業用宅地等 タイムズ駐車場の敷地など 50%減額 200㎡

特に、自宅や事業用の土地は減額割合が大きいため、相続税を大幅に抑えられるケースもあります。
土地を相続する予定がある場合は、特例の対象になるか事前に確認しておくことが大切です。

なお、小規模宅地等の特例を利用するには、相続税の申告が必要です。
申告書に加え、遺産分割協議書の写しなど、必要書類を添付して提出しなければならないため注意しましょう。

参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

相続税対策としてできること

相続税対策としてできること

相続税対策は、相続が発生してから進めるのではなく、生前から計画的に準備しておくことが大切です。
続いては、代表的な相続税対策を紹介します。

生前贈与を活用する

生前贈与を活用して財産をあらかじめ減らしておくことで、相続税の負担軽減につながります。

例えば、年間110万円以内の暦年贈与であれば、原則として贈与税はかかりません。
また、相続時精算課税制度を利用する方法もあります。

ただし、相続開始前の一定期間内に行った贈与は、相続税の計算時に加算される場合があるため注意が必要です。

参考:国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」「No.4103 相続時精算課税の選択

生命保険を活用する

生命保険の死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があり、相続税の負担軽減につながります。

また、保険金は現金で受け取れるため、納税資金の準備にも役立つでしょう。

土地活用を検討する

土地活用も、相続税対策として有効な方法です。

例えば、賃貸住宅や駐車場として活用することで、「小規模宅地等の特例」が適用され、土地の評価額を減額できる場合があります。

ただし、特例を受けるためには、生前から貸付事業として活用していることが条件になるケースもあります。
相続直前に始めた土地活用は対象外となる場合もあるため、早めに検討しておくことが大切です。

参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

相続した土地を駐車場として活用するメリット

相続した土地を駐車場として活用するメリット

相続した土地の使い道に迷った場合は、駐車場経営を検討するのも一つの方法です。
駐車場経営は建物を建てる必要がないため、比較的少ない初期費用で始めやすく、固定資産税や土地の維持費の負担を補いやすい点がメリットです。

また、アパート経営と比べて設備を撤去しやすく、将来的に売却や別用途へ転用しやすい点も特徴といえます。
生前から貸付事業として活用していた場合は、「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例が適用される可能性もあります。

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相続税の計算方法を把握して事前にシミュレーションしよう

相続税の計算方法を把握して事前にシミュレーションしよう

相続税は、相続した財産の内容や金額によって大きく変わります。
特に、基礎控除額や土地の評価方法、活用できる特例については事前に把握しておきましょう。

【この記事で押さえておきたいポイント】
 ● 相続税は、課税価格が基礎控除額を超えた場合に発生する
 ● 土地の相続税評価額は、路線価方式または倍率方式で計算する
 ● 小規模宅地等の特例、生前贈与、生命保険、土地活用などで相続税を軽減できる場合がある

また、相続税の負担を抑えるためには、生前から対策を進めておくことも重要です。
早めに相続税額をシミュレーションし、自分に合った対策を検討しましょう。

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相続税の計算方法に関してよくあるご質問

相続税の計算方法に関するよくあるご質問にお答えします。

お問い合わせの多いご質問

相続税はいくらからかかりますか?

相続税は、相続財産の課税価格が基礎控除額を超えた場合にかかります。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。

例えば、法定相続人が3人であれば、基礎控除額は4,800万円となり、相続財産の課税価格が4,800万円を超えると、相続税が発生します。

相続税の申告・納付期限はいつですか?

相続税の申告・納付期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内です。
なお、一定の条件を満たす場合は、「延納」によって分割で納付できるケースもあります。

※参考:国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」「No.4211 相続税の延納

駐車場経営は相続税対策になりますか?

生前から貸付事業として駐車場経営を行っていた土地は、一定の条件を満たすことで、「貸付事業用宅地等」として小規模宅地等の特例を受けられる可能性があります。
そのため、相続税対策として駐車場経営を始める方も少なくありません。

ただし、相続開始前3年以内に始めた貸付事業は、原則として特例の対象外となるため注意が必要です。
参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

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相続税は、遺産総額や法定相続人の人数、土地の評価方法などによって税額が変わります。この記事では、相続税の基本的な計算方法や土地の評価額の考え方、シミュレーション例、小規模宅地等の特例、生前贈与や土地活用による節税対策まで分かりやすく解説します。