土地の活用方法を決めるという大きな決断には、様々な情報を収集することが必要です。
「土地オーナーへの道」の第四話は、「土地の活用法それぞれのメリットとデメリット」をテーマにお届けします。
土地の活用方法を検討する上で、活用方法ごとのメリットとデメリットなど、ファイナンシャルプランナーの先生からアドバイスをもらいながら、自分に合った形を模索する第四話をお楽しみください。
【第四話】土地の活用法それぞれの「メリット」と「デメリット」
家族の意向を確認
土地活用方法検討時の注意点を聞いたうえで、譲り受けた土地の活用方法について妻に相談した。
相続した土地は、今住んでいる街からクルマで1時間以上離れたところにあり、居住用の建物を建てて引っ越すことに対しては、住み慣れた街を離れることになるため妻は難色を示した。学校など、小学生になった娘の生活環境を変えることにも抵抗があるようだ。そうなると、土地は売却せず継承したいので、賃貸用の建物を建てるか、平地として運用するかに選択肢が限られた。結論を出すために、それぞれの活用方法のメリットとデメリットをより詳しくファイナンシャルプランナーの先生に教えてもらうことにした。
「賃貸用建物経営」のメリット・デメリット
■メリット
・更地に建物を建てると、土地にかかる「固定資産税」「都市計画税」が軽減される。
・住宅ローンを借りることで「住宅ローン控除」など、税制面の優遇を受けられる。
・建物の種類によっては、大きな収益が得られる可能性がある。
■デメリット
・建築の費用負担が大きいばかりでなく、将来の修繕費なども必要。
・空室や家賃滞納など、安定した収益が得られない可能性がある。
・賃貸による営業権・賃借権等の発生により、その後の転用や売却が容易ではない。
「平地活用(駐車場経営)」のメリット・デメリット
次に「平地活用(駐車場経営)」についても説明してもらった。駐車場経営は、時間貸駐車場にするか月極駐車場にするか、また自己経営するか駐車場事業者へ委託するかによりメリット・デメリットが変わるため、詳しくは駐車場事業者の説明を聞くようアドバイスをもらった。今回は、賃貸用建物経営と比較した上でのメリット・デメリットを聞いた。
■メリット
・設備投資や維持費用を低く抑えられる。
・転用性や流動性を確保しながら土地活用ができる。
■デメリット
・税制面の優遇がない。
・大きな収益は見込めない。
「売却」のメリット・デメリット
最後に、土地は娘に引き継ぐつもりだが、念のため「売却」についても説明してもらった。
「売却」
■メリット
・一時的な収益となる。
・土地を保有していることでかかる維持コストがなくなる。
■デメリット
・売却による収益に対する税金が発生する。
・土地活用による継続的な収入を得る機会がなくなる。
加えて、ファイナンシャルプランナーの先生は「売却」すると一時的な収益にはなるが、税金の支払いを考慮した上で実際に残る収益がどれくらいになるのか、また売却をせずにそのまま有効活用した場合とでは、どのくらい差があるのか等、概算でも良いので税理士・不動産鑑定士といった専門家へ試算してもらう事も土地活用を最終的に決定する上で必要であることをアドバイスしてくれた。
各々のメリット、デメリットを聞いて
「賃貸用建物経営」は収入面では魅力的だが、現状の貯蓄額では既にかかえている住宅ローンに加え、更なる借入をしなければ建物は建てられない。さらに、将来的に修繕費もかかることを考えると、ローンと修繕費の支払いを子供に残してしまうのではないかと心配だ。
次に「平地活用(駐車場経営)」の場合は、設備投資が低く抑えられる他、賃貸用建物経営に比べ大きなリスクがないことに魅力を感じた。
また「売却」については、やはり先祖代々受け継がれてきた土地を手放し一時的に収益を得ることには気が引けるし、資産運用についてもこの機会に考えてみたいので、選択肢から外すことに決めた。
よって、土地活用方法は「賃貸用建物経営」か「平地活用(駐車場経営)」かに限られた。
今回のアドバイスを参考に、土地の継承・活用には何を重視すべきか、自分自身が希望する考えをまとめてみようと思う。