遺産分割で大切なこと
2018.05.30
遺産分割協議、遺産分割方法、相続税の支払いについて、弁護士・税理士・ファイナンシャルプランナーが解説いたします。
相続財産・相続人・遺言の有無が確認できたら、相続人一同が集まった場で相続人遺産分割協議を行います。
遺産分割協議にて財産の分配が決まった場合、相続した財産に対する相続税を納付し、相続が確定します。
協議がまとまらなかった場合、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てます。遺産分割調停も成立しなかった場合、自動的に遺産分割審判手続に移り、家事審判官によって遺産分割の審判がなされます。
遺産分割協議
遺産分割協議とは、相続人が一堂に会し、相続人全員の同意のもと、相続財産の分配を決めることを指します。被相続人による遺言書がない場合などは、必ず行わなければいけません。
また、相続人の1人が電話で参加するなどの手段をとることはできないため、必ず相続人一同が集まった場で協議しなくてはなりません。
相続人が複数いる場合に、遺産分割がまとまらないということが起こりがちです。
なぜなら、被相続人が生前より相続人への資金援助(特別受益)や、被相続人の介護の世話をしたこと(寄与分)があるためです。
また、たとえ遺言書があったとしても、遺留分(最低限相続できる権利)があるためです。
遺産分割調停も成立しなかった場合、自動的に遺産分割審判手続に移り、家事審判官によって遺産分割の審判がなされます。
遺産分割方法
遺産分割には、大きく分けて5つの方法があります。
【1】現物分割
名前の通り、個々の相続財産をそのままの状態で分割する方法です。
例えば、預貯金はAさん、土地はBさん、クルマはCさんなど、分かりやすく分割することが可能ですが、遺産分割協議で決めた分配割合でキッチリと分けることが難しい方法です。
【2】代償分割
法定相続分以上の価値を持つ相続財産を取得した相続人が、その取得した財産の価格と相続分との差額を、その他の相続人に対して金銭で支払う分割方法です。
住宅や自宅などの不動産や、事業を引き継ぐための自社株取得など、分割ができない場合に用いられます。
【3】代物分割
法定相続分以上の価値を持つ相続財産を取得した相続人が、その取得した財産の価格と相続分との差額を、その他の相続人に対して金銭以外の物で渡す分割方法です。
金銭ではなく、不動産等の物を渡すことが、【2】代償分割との違いです。また、譲渡益に対して所得税が課せられます。
【4】換価分割
相続財産をすべて売却し、一旦、現金に換えてから分割する分割方法です。
譲渡益に対して、所得税が課せられます。
【5】共有分割
相続財産を複数の相続人で共有する分割方法です。
特に不動産売却が決まっている時などは、相続人の納税資金を削減することが可能なため、非常に有効です。
ただし、売却をする・しないなど、資産の活用方法の自由度は低くなります。
相続税の支払い
被相続人が亡くなってから、10カ月以内に、相続した財産に対する相続税の申告・納付の必要があります。
しかし、その前に、準確定申告をする必要があることをご存知ですか。
準確定申告とは、被相続人が亡くなってから4カ月以内に、被相続人の1月1日からの各種収入について、一時的に確定申告をすることを指します。
その後、相続財産を明確にした上で、遺産分割を行う必要があります。
相続をする上で、対応しなければならないことも多いため、このような手続きを税理士へ依頼することは珍しくありません。